2020年5月11日
生体・複合材内部を非破壊観察できる光音響顕微鏡
理研No. 08820
発明者
丸山 真幸、加瀬 究、斎藤 徳人、和田 智之(光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム)
背景
光音響イメージングは複合材や生体などの散乱体内部を非破壊・非侵襲で観察することができる新しい観察技術です。光と超音波を併用することで、光学顕微鏡より深い領域を、超音波エコーより高分解能で得ることができます。本技術では素材を見分ける機能を付与する波長可変光源と組み合わせて、位置ずれなく深部3次元像を得ることができます。
概要
吸収係数の波長特性を用いて物質を見分ける多波長機能イメージングを従来の光音響顕微鏡で行うと、光学系の屈折率波長依存性により、得られる像の位置にずれが発生してしまいます。そこで反射光学系や対称光学系を用いることで波長依存性を無くし、ずれの発生を抑制しました。また、集光効率を高め、エネルギー効率と深部観察における高深達性を両立させました。
図1:様々な生体組織等の吸収係数波長依存性
図2:既存光音響顕微鏡と広帯域に対応した光音響顕微鏡
図3:光音響イメージング例(生分解性バイオマス繊維強化バイオプラスチック)
利点
- 散乱体内部を非破壊・非侵襲で観察可能
- 複数物質分布計測でも像ズレなし
- 低エネルギーでのイメージングが可能
応用
- 非侵襲医療診断
- 非破壊内部検査
- バイオマーカーイメージング
文献情報
- 1.PCT/JP2019/018489
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