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メタボローム研究の現状 |
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理研の植物を中心としたメタボローム研究について |
理研植物科学研究センター(篠崎一雄センター長)では、平成12年度からの5年間の第一期プロジェクトを土台に平成17年度から第二期プロジェクトをスタートした。第二期ではメタボローム解析を核とし、植物の生産力の質的および量的な向上を目指した遺伝子機能の解明と応用を進めている。さらに植物メタボローム解析の世界標準となるプラットフォーム基盤を構築し、LC-MS, GC-MS, CE-MS, NMRなど複数の分析技術を有機的に組み合わせたメタボローム解析の先端的技術開発とハイスループット解析を実現する(斉藤和季メタボローム基盤研究グループディレクター)。
特に、多次元NMR技術は理研がたんぱく質構造決定で開発した新規技術を用いてメタボローム研究に応用し、研究実績を上げているので、オリジナリティーのある研究技術となっている。また、理研植物研究グループに伝統的に強力な植物ホルモン分析を基にした微量分析技術を導入することにより、ホルモノーム研究を推進している(神谷勇治生長制御研究グループディレクター)。
さらに理研において開発・作製した、アクティベーションタグライン、完全長cDNA過剰発現ライン、挿入型変異ラインなど充実したリソースを材料にメタボロームとトランスクリプトームを中心とした網羅的解析を統合し、植物の質的・量的向上に資する新規遺伝子機能を探索する。これらの理研が有する豊富なゲノム関連リソースは理研の優位性を高めている。さらに、バイオインフォマティクを強化してシステム生物学への展開を目指す。 |
| 植物科学研究センター http://www.psc.riken.go.jp/ |
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慶大の動物・微生物を中心としたメタボローム研究について |
慶應義塾大学先端生命科学研究所(冨田勝所長)はキャピラリー電気泳動装置(CE)と質量分析装置(MS)を組み合わせたメタボローム解析技術を、曽我朋義助教授が中心になって開発してきた。この技術で平成14年8月に特許を取得し(特許第3341765号 陰イオン性化合物の分離分析方法及び装置)、平成15年7月には第17回独創性を拓く先端技術大賞の日本工業新聞社賞を受賞した。
またこれらの大量の生物データから代謝のしくみを解析するためにはインフォマティクス技術が不可欠であるが、先端生命科学研究所は細胞シミュレーションの分野で世界的パイオニア。同研究所のE-CELLシステムは平成15年年11月に、世界の卓越した研究室に送られるIBM Shared University Researchアワードを受賞した。
平成15年7月にはベンチャー会社「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(HMT社)」を設立。現在、複数の大手食品会社や製薬会社と契約している。
また教育面では、メタボローム解析実習、ゲノムシーケンス実習、プロテオーム解析実習、バイオシミュレーション実習、ゲノム解析プログラミング、などの最先端の実習科目を揃え、実験生物学とバイオインフォマティクスの両方をバランスよく理解したシステム生物学の人材育成に貢献している。
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先端生命科学研究所 http://www.iab.keio.ac.jp
HMT社 http://humanmetabolome.com
大学院プログラム http://www.ttck.keio.ac.jp/Bioinformatics-program/
E-Cellプロジェクト http://www.e-cell.org/
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