独立行政法人理化学研究所の旅費の重複受給等問題に関する調査結果等について

平成16年6月11日
独立行政法人理化学研究所

1. 経緯
 独立行政法人理化学研究所(以下「理研」という。)中央研究所ビーム物理工学研究室の招聘主任研究員であった(平成16年2月29日付にて解嘱)片山武司が、海外出張の際、出張先相手機関から旅費が支給されている一方で理研からも旅費を受給しているとの旅費の重複受給問題、及び複数の女性に対してセクシュアルハラスメントと思われる行為をしているとの問題について、平成16年2月19日に調査委員会(委員は別紙のとおり)を設置し、関係者からの事情聴取や出張先相手機関等への問合わせなどの調査を行ってきた。

2. 調査の概要
(1) 調査事項
旅費の重複受給問題について
 平成15年3月のスイス・ジュネーブの研究機関及び平成15年9月の中国・蘭州の研究機関への海外出張について、相手機関から旅費が支給されている一方で、理研からも旅費を受給しており、旅費の重複受給があるとのこと。
 さらに、平成14年6月のスウェーデン・ストックホルムの大学への海外出張等についても同様な旅費の重複受給があるとのこと。
セクシュアルハラスメント問題について
 複数の女性に対して破廉恥メールの送信やストーカー行為などセクシュアルハラスメントと思われる行為をしているとのこと。また、この件について、被害を受けた女性から理研に訴えがあったにも関わらず、不問に付されたとのこと。
(2) 調査結果
旅費の重複受給問題について
   出張記録、旅費支給記録等の関連文書の調査、出張先相手機関等への問い合わせ等による調査を行った結果 、これまでの海外出張35件のうち10件について、出張先相手機関等から旅費が支給されている一方で、理研からも旅費を受給しており、理研の旅費規程に基づき精算した場合、4,433千円の重複受給が認められた。
 本来、理研の海外出張手続きにおいては、事前に渡航先、渡航目的、渡航期間、行程及び航空運賃見積書等を提出することになっており、その際、他機関よりサポートがある場合は、それも申告し、サポートを受ける額に応じて、理研からの旅費を減額し支給することになっている。また、事前にサポートの有無が不明であっても、実際にサポートがあった場合は、帰国後速やかにそれを申告し、旅費の精算を行うことになっている。
 片山氏本人は「事前に相手機関からサポートがあるのか不明であったこと及び旅費としてサポートを受けた金員については精算処理すべきと思っていたが、業務が多忙であったため、失念していた。」としているが、片山氏は、出張日程に延長や短縮があった場合には、その旨を申告し、追加支給や返金精算手続きを行っている事例があること、また相手機関から片山氏に事前に旅費支給が提示されている事例もあることをして、本来行うべき精算処理を失念していたとは考えがたく、マスコミ関係者からの取材を受けたため、重複受給を理研に申告したと考えざるを得ない。
 また、上記の重複受給が確認できた10件のうちには国内の研究機関からの依頼で出張している事例があるが、片山氏は、この国内機関に対し、事前に承諾書、出張調書、日程表及び航空運賃見積書等を提出している一方で、理研に対しても同じ用務と日程で同一業者の発行した航空運賃見積書により出張手続きを行っている。さらに、帰国後の手続きについて、事前手続きと同様に、同一業者の発行した領収年月日、領収証番号が同一の航空運賃の領収証を国内機関及び理研のそれぞれに提出している。片山氏は、国内機関の依頼により、国内機関から旅費が支給されるにも関わらず、理研にも出張手続きを行い、旅費の請求を行っており、最初から旅費を重複して受給しようと企てたのではないかと考えられる。
 従って、上記の海外出張10件については、本来支給出来る理研の規定に基づく支給額と他機関からの支給額の差額分についても支給を取り消し、理研から支給された海外出張旅費の全額(5,474千円)を返還請求するべきである。
 以上のように、片山氏は、マスコミ関係者からの取材を受けて初めて旅費の重複受給を申告するとともに、最初から重複して受給しようと企てたのではないかと考えられる行為もあり、常勤職員であれば極めて重い懲戒処分に相当する事案である。従って、片山氏の旅費の重複受給に関する行為は、極めて悪質と言わざるを得ず、理研として相当の措置を検討すべきである。
   
セクシュアルハラスメント問題について
 

 片山招聘主任研究員が、複数の女性に対して破廉恥メールの送信やストーカー行為などセクシュアルハラスメントと思われる行為をしているとの問題については、関係者等への事情聴取等の結果 、昨年9月に理研職員を介して女性から相談があったこと、及び昨年11月に同じ理研職員から別の女性へのセクシュアルハラスメントについてメール連絡があったことが確認できた。
 これについて、片山氏は、事情聴取の中で、女性に対して、ストーカー行為と思われるようなことはしていないがメールを何度か送ったことはあり、相手がそのように言うのであれば、思い当たる行為はあった旨を述べている。
 以上のセクシュアルハラスメント問題については、女性らの意向や人権に配慮しつつ、理研として対応しているところである。

   
その他
  本件調査の過程で、アドレスを偽装するなどして出張先相手機関に理研等が問い合わせをしていると思わせるような行為が認められるので、別 に調査が必要である。

3. 理研が行う措置
(1) 旅費の重複受給分の理研への返還請求
(2) 招聘主任研究員を解嘱
(3) 今後の理研に関係する研究活動の禁止
(4) 刑事告訴を検討中
(5) 関係役員、部長等への処分
(6) 全研究室に対する旅費の重複受給に関する内部調査

4. 今後の再発防止対応
(1) 意識改革の啓蒙
(2) 先方支給の場合の手続きを明確に指示
(3) 出張報告に先方支給の有無などを明記
(4) 重複受給のペナルティーを厳しく明確に定める
(5) 抜き打ち監査の実施
(6) 招聘主任研究員制度の見直し
(7) セクシュアルハラスメント相談体制の充実

以上



 

独立行政法人理化学研究所の不正アクセス疑惑等に関する調査結果等について

平成16年6月11日
独立行政法人理化学研究所
 
1. 経緯
 独立行政法人理化学研究所(以下「理研」という。)中央研究所ビーム物理工学研究室の招聘主任研究員であった(平成16年2月29日付にて解嘱)片山武司(以下、「片山氏」という。)の旅費の重複受給について調査していた過程において、片山氏が受発信した電子メールが外部に漏洩している疑いがあること、及び海外の研究機関の関係者に理研の名前を騙った電子メールが発信されている疑いがあることが指摘されたため、平成16年3月1日に調査委員会(委員は、下記のとおり)を設置し、理研内における当該電子メールアカウントの記録等の調査及び関係者からの事情聴取等の調査を行った。

2. 調査の結果
本調査委員会が確認した事実は、次のとおりである。
(1) 理研の職員Aは、理研の非常勤職員の名前を騙り、理研の架空の部署によるアカウントを作成させ、片山氏が出張先の海外の研究機関から受給した旅費の情報を取得していた。
 
(2) Aは、片山氏からパスワードを知らされていたBの協力を受け、片山氏のアカウントに無断でアクセスして、片山氏の名前を騙って、海外の研究機関の関係者に対して(1)の調査に対して協力するよう伝える電子メールを送信していた。また、Aは、片山氏が本人のアカウントにアクセスできないようにパスワードを一時的に変更していた。さらに、Aは、同機関の関係者からの回答を片山氏に読まれないように削除していた。
 
(3) Aは、Bの協力を受け、平成15年10月中旬から約4ヶ月間、ほぼ常時片山氏の電子メールの送受信の内容をBと共同で傍受・監視していた。これにより、Aは、片山氏が出張先の海外の研究機関の関係者から得た片山氏の旅費の情報を取得していた。
 
(4) Aは、「理研」の名前を騙って、海外の研究機関の関係者に対して、片山氏が同機関に旅費を返還しないようにするため、片山氏に接触しないよう伝えるための電子メールを送信していた。

 

  以上から、片山氏のアカウントに無断でアクセスを行っていたのは、Aであり、そのための協力を行ったのは、Bであることが判明した。また、その行為に及んだ直接の動機は、片山氏が海外出張旅費を重複受給していた可能性をAが察知し、その証拠を取ろうとしたことであったことが判明した。

 

3. 理研が行う措置
(1) Aに対する処分の検討
(2) 関係役員、部長等に対する処分の検討
(3) パスワード管理の徹底

4. 今後の再発防止対策
(1) 法律遵守に対する意識改革の啓蒙
(2) 情報管理体制の改善
(3) 内部通報制度の整備

 

【参考】

平成16年3月1日

不正アクセス疑惑等に関する調査委員会委員

 

委員長  井 上 頼 直  理事
委 員  柴 田   勉  理事
委 員  小 中 元 秀  理事
委 員  姫 野 龍太郎  情報基盤センター長
委 員  大河内  真   総務部長
委 員  河 原 正 行  人事部長
委 員  船 田 孝 司  総務部次長
委 員  鈴 木 富 男  情報基盤センター調査役

 

 


 

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