マウスが父性行動を発現する神経機構の一端が明らかに
−仔マウスに対する攻撃から養育へ、雄マウスが示す行動変化の不思議を解く−
平成25年3月20日
「妊娠した雌マウスとの同居を経験した雄マウスは、仔が生まれる時期になると、よその仔でも可愛がる」そうです。“子育ては奥さんまかせ”という貴方!マウスのほうが育メンでは先輩かも知れませんよ。
交尾未経験の雄マウスは、仔に接すると攻撃行動を示します。一方、交尾を経験し、妊娠した雌マウスと同居した雄マウス(父マウス)は、自分の仔以外の仔に対しても養育行動をとるようになります。理研の研究者は、この不思議な行動変化を神経機構の面から解明しようと試みました。
まず、交尾未経験の雄マウスと父マウスに対して別々に仔を見せ、脳のどこの部位が活性化するかを比較しました。その結果、交尾未経験雄マウスでは、新生児から発せられる化学物質(フェロモン)により、鼻腔下部に存在する鋤鼻(じょび)器という感覚器から脳へとつながる鋤鼻神経回路が活性化され、最終的には攻撃行動に関わる視床下部領域が活性化されて、仔への攻撃行動を誘発していました。これに対し父マウスでは、フェロモンを感知する鋤鼻器で既に情報の伝達がストップしていました。また、交尾未経験雄マウスの鋤鼻器を切除してフェロモンを感知できなくすると、仔への攻撃行動が抑制され、父性行動を誘発することを確認しました。これにより、鋤鼻器での仔のフェロモン情報伝達の抑制が、父性行動誘発の原因であることが明らかになりました。
マウスの父性行動の一端が明らかになり、今後、哺乳類に共通する父性行動発現の神経基盤の解明などに役立つことが期待されます。