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“対称性の自発的破れ”に関する南部理論の適用限界を打破

−どういう場合にどれだけの「波」が生まれるかを数式で導き出す−

平成25年2月20日

「対称性の自発的破れ」の概念を現代素粒子物理学に導入し、 「南部理論」 を生み出した南部陽一郎博士は、 2008年にノーベル賞を受賞しました。この理論を簡単に言うと、対称性には、円や球のようにどれだけ回転させても対称性を保つ回転対称性や、気体や液体のように分子がどこにあっても変わらない並進対称性といった「連続対称性」があり、これが自発的に破れると小さな変化を遠方まで伝える「波」が発生する―という理論です。南部理論では、連続対称性が破れると、破れた対称性の数に等しい数だけ一定速度で伝わる波が現れるとしています。しかし、磁石の中を伝わる「スピン波」のように、自然界に現れる波の中には南部理論で説明できる波とは異なる性質の波があることが知られています。

例えば、従来の南部理論をそのままスピン波に適用すると2種類の波が生まれるはずですが、実際には1種類の波しか観測されません。そこで理研の研究者は、あらゆる連続対称性の自発的破れを理論的に説明できる新しい理論の構築に挑みました。新理論の構築に用いたのは、ミクロな力学からマクロな現象を導き出す「森理論」でした。1965年に森肇博士が提唱した理論です。これを南部理論へ融合し、スピン波では電子の回転に起因して1種類の波だけが生まれること、その伝播速度はスピンに加える力の大きさに依存することを説明できました。

自然界の波の性質を1つの理論だけで説明でき、対称性の自発的破れの本質的理解につながります。

静止した時・コマが回転していない時・コマが回転している時の振り子の運動