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東アジア人集団における腎臓機能の個人差の原因を解明

−慢性腎臓病のリスク予測に貢献−

平成24年7月16日

腎臓機能の各指標における遺伝子の関連

腎臓は、老廃物を尿として体から追い出し、血圧を調整し、体液の量やイオンバランスを保つなど非常に重要な働きをする臓器です。しかし、日本では慢性腎臓病にかかり、健常者の半分以下に腎臓機能が低下した患者が400万人に達しており、「新たな国民病」とも呼ばれています。

慢性腎臓病になりやすさついては、個人差が存在することや、腎臓機能の正常値が人種によって異なることから、遺伝的背景の違いに起因すると考えられていました。しかし、原因となる遺伝子の同定は十分とはいえませんでした。

ゲノム医科学研究センターの研究グループは、日本人を含む東アジア人集団71,149人を対象に、ヒトゲノム全体に分布する約240万個の一塩基多型(SNP)と、腎臓機能の4つの指標である尿素窒素、血清クレアチニン値、糸球体ろ過量、尿酸値との関連を調べる「ゲノムワイド関連解析」を行いました。この結果を欧米人集団110,347人を対象とした解析結果と照合し、東アジア人の腎臓機能の個人差に関わる21個の遺伝子を同定、そのうち12個は今回新しい発見となりました。また、21個の関連遺伝子を対象に、慢性腎臓患者と健常人との比較を行った結果、7個の遺伝子が慢性腎臓病へのかかりやすさを1.06〜1.1倍増加させることを突き止めました。さらに21個の遺伝子を、4つの腎臓機能の指標と慢性腎臓病との関連に基づいて分類した結果、そのうち3つの遺伝子は4つの指標全てに関連し、腎臓機能のメカニズムと深い関係にあることが分かりました。

今後、同定した遺伝子を対象とする研究が進めば、日本人をはじめとした東アジア人の腎臓機能の個人差や慢性腎臓のメカニズムの解明が進み、オーダーメイド医療への応用も期待できます。


[発表者]
ゲノム医科学研究センター 循環器疾患研究チームの田中敏博チームリーダー(副センター長兼務)、統計解析研究チームの岡田随象客員研究員ら