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腸管内の抗原取り組み口「M細胞」の分化に必須な転写因子を発見

−いまだに謎が多い腸管免疫系のメカニズム解明に貢献−

平成24年6月18日

Spi-B欠損マウスにおけるM細胞の消失

400m2といったら100坪を超えます。広いですね!いえ、マイホームの話ではありません。ヒトの腸管粘膜の表面積のことです。さらに、腸管には体内の全免疫細胞の60〜70%が集中、体内最大の免疫組織が形成されています。なぜなら、腸管粘膜は100兆個もの腸内細菌にさらされているうえ、感染症の原因となる病原性微生物(抗原)の侵入にも備える必要があるからです。そう、感染から私たちを守る最前線が腸管粘膜なのです。腸管粘膜にはM細胞という細胞が点在し、侵入してきた抗原を盛んに取り込んで免疫応答を発動させています。これまで、このM細胞自身の分化メカニズムはほとんど分かっていませんでした。

免疫・アレルギー科学総合研究センターの研究者らは、 M細胞の分化を誘導する因子として知られるRANKLという分泌タンパク質に着目しました。普通のマウスにRANKLを3〜4日間投与し、投与後の腸管粘膜の遺伝子を調べて、M細胞が分化する過程を追跡しました。その結果、M細胞は「Spi-B」という転写因子を発現することが分かりました。ヒトの内視鏡サンプルを用いた解析でも、Spi-B遺伝子の発現を確認しました。次に、Spi-B遺伝子を欠損させたマウスでM細胞の形成を観察したところ、M細胞が完全に消失し、ネズミチフス菌などの病原性微生物に対する免疫応答が低下することも突き止めました。

Spi-B欠損マウスをM細胞欠損モデル動物として活用できることから、今後、腸管免疫系でのM細胞のメカニズム解明が進みます。また、M細胞を標的とした経口ワクチン開発でも有効な評価ツールとなります。


[発表者]
免疫・アレルギー科学総合研究センター  免疫系構築研究チームの大野博司チームリーダー、金谷高史研究員と、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの改正恒康教授、米国エモリー大学医学部のIfor R. Williams准教授