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体細胞クローン作製の成功率が低い原因を解明

−クローン胚の染色体を生きたまま観察する技術を開発−

平成24年1月25日

体細胞クローン技術は、畜産・医療分野や絶滅動物・絶滅危惧種の復活・保存などへの応用が期待されています。もちろん、発生・再生研究分野においても重要な研究課題でもあります。

しかし、1997年にクローン羊「ドリー」の誕生が報告されてから15年経っても、クローン作製の成功率はいまだに低いままなのです。

研究チームは、初期胚の分子や構造の時間変化を胚を傷つけずに生きたまま長時間観察できる技術(ライブセルイメージング技術)を開発し、なぜ、成功率が低いのかを探りました。クローン胚の発生開始から着床期直前までの3日間、連続的に観察して、体細胞クローンマウスが生まれる条件を解析しました。

その結果、成功率が低い最大の原因は、初期胚の発生時に起こる染色体の分配異常にあることを突き止めました。8細胞期(3回目の体細胞分裂)までの卵割過程の間に分配異常を起こした胚が80%以上あり、それらの胚からはクローンマウスは得られませんでした。8細胞期から16細胞期までに分配異常を起こした胚では2.5%、16細胞期までに1度も分配異常を起こさなかった胚では7.1%の確率でクローンマウスが産まれました。今回、胚を傷つけずに長時間観察できる技術を開発したことで、初期胚の段階で将来個体になる可能性がある胚と、ない胚を見分けることができるようになり、それらを比較することでより詳細な原因究明につながるだけでなく、体細胞クローンの作製効率の向上が期待できます。


[発表者]
発生・再生科学総合研究センター ゲノム・リプログラミング研究チーム
山縣一夫研究員(現大阪大学微生物病研究所特任准教授)、水谷英二研究員(現理研BRC遺伝工学基盤技術室協力研究員)