「効率的選択」で脳は注意を向け集中を高める
−行動実験中の脳神経活動測定と独自の理論モデルで“注意”のメカニズムを実証−
平成23年12月8日
居酒屋などの騒がしいところで、テレビのニュースに集中するのはとても難しいことです。それでも、目や耳から入ってくる周りの雑多な情報の中から、テレビの音声や映像だけを知らず知らずのうちに選んでいることがあります。人間には欲しい情報だけを「選別」することで入ってくる雑音を減らし、求める音声や映像だけに反応性を上げる能力があるのです。
脳科学総合研究センターの研究者は、この能力を科学的に解き明かそうと試みました。まず、ヒトの脳がある刺激に対して“注意”を向けて集中している時と“注意”が分散している時の行動実験を行い、同時にその時の脳の活動を、活性化されている部位を画像で表示できる「機能的核磁気共鳴イメージング(fMRI)」を使って測定し、定量化しました。さらに、この結果を組み合わせた独自の理論モデルを作り、これまで提唱されてきた学説を検証してみました。その結果、脳がある事象だけ“注意”を向け集中するためには、意味のある情報だけを選別して感覚野から知覚野へ受け渡す「効率的選択」というメカニズムが主に働いていることを突き止めました。効率的選択では、脳神経活動の大きさで情報を選択するので、刺激に対して“注意”を向けている時は、脳の神経活動が特定の部位で増大し、それ以外の部位からの神経活動をさえぎります。このため“注意”した情報だけを認知できるのです。今まで脳神経科学分野において “注意”のメカニズムは謎でしたが、この発見で一端が明らかになりました。さらに複雑な脳の高次機能を解く手がかりとなることが期待できます。