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放射性同位体11Cで尿酸を標識することに成功

−ラット生体内の尿酸の動きを画像で定量的に評価−

平成23年12月2日

図 [11C]尿酸を投与し、65−70分後のラットのPET画像

尿酸は、痛風や高血圧、腎臓病、心臓病など多くの生活習慣病に関わる生体内分子です。大部分は尿として排泄されますが、一部は血中にも存在します。血中の尿酸濃度が高くなると高尿酸血症となり、関節で結晶化すると痛風を引き起こします。尿酸が体内のどこに集積し、どのくらいの濃度であるかを把握することは、尿酸に関わる病気の早期発見につながりますが、尿酸の動きや濃度を視認できるように画像化した例は、これまでありませんでした。

分子イメージング科学研究センター 分子プローブ動態応用研究チームを中心とする研究グループは、放射線が体を透過する性質を利用したPET(陽電子放射断層画像撮影法)を使い、高精度かつ定量的に体内の尿酸の動きや濃度を画像化することに取り組みました。PETのプローブ(陽電子を放出する放射性同位体を組み込んだ薬剤)として、炭素の放射性同位体11Cを組み込んだ[11C]尿酸を合成し、ラットを使って実験しました。

正常なラットと高尿酸血症誘発モデルラットのそれぞれに[11C]尿酸を静脈注射し、体内での動きをPETで解析した結果、投与した[11C]尿酸がラットの体内を巡って腎臓で尿として排泄される一連の流れを画像化することに成功しました。また、高尿酸血症誘発モデルラットの手足の関節部分には、正常ラットに比べ2.6倍の濃度の尿酸が集積していることが分かりました。この手法を臨床のPET検査に応用し、 [11C]尿酸をイメージング診断薬として活用することにより、痛風など尿酸が関係する病気の早期診断の実現が期待できます。