自己免疫疾患を引き起こすT細胞の過剰な分化を抑制するメカニズムを解明
−核内タンパク質「PDLIM2」が、Th17細胞の過剰な分化を抑える働きをもつ−
平成23年12月2日
私たちの体ではウイルスや病原菌が侵入すると、免疫システムが働き、病原体を攻撃して排除します。しかし、この反応が過剰になると正常な組織まで攻撃してしまう「自己免疫疾患」を引き起こすことがあります。
免疫システムで中心的役割を果たしているのはT細胞と呼ばれるリンパ球です。T細胞は侵入した病原体の種類に応じて異なる機能をもった特殊なT細胞に分化することで病原体を排除します。その中でTh17というT細胞が過剰に分化すると炎症性の疾患や自己免疫疾患を引き起こすことが知られています。しかし、Th17細胞の過剰な分化を抑えるメカニズムについては不明のままでした。
理化学研究所と北海道大学を中心とした研究グループは、「PDLIM2」という核内タンパク質が、Th17の過剰分化の抑制に重要な働きをすることを明らかにしました。Th17の細胞分化にはSTAT3という転写因子が活性化しなければなりませんが、 PDLIM2がSTAT3にユビキチンと呼ばれる小さなタンパク質を目印として付けてSTAT3を分解することによってTh17細胞の分化を抑制することを発見しました。マウスを使った実験では、 PDLIM2を欠損させたマウスのT細胞ではSTAT3の分解が妨げられた結果、正常マウスのT細胞と比べてTh17細胞の分化が2〜3倍増加しました。
今回、解明したPDLIM2 によるTh17細胞の分化を抑制するメカニズムは、自己免疫疾患の治療を目的にした人為的な免疫制御法や治療薬の開発に役立つことが期待できます。