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ES細胞から機能的な下垂体の3次元器官形成に世界で初めて成功

−自己組織化技術で産生した下垂体の移植による再生医療の実現に向けて−

平成23年11月10日

図 3次元自己組織化技術によるES細胞からのラトケ嚢の自己組織化

ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)などの多能性幹細胞は、すべての種類の体細胞に分化する能力があります。これを用いて医学的に有用な細胞を産生、移植して難病を克服する再生医療は、未来の治療方法として期待が高まっています。

下垂体は、間脳の下部にある小さな器官で、体のホルモンを産生して内分泌の恒常性を維持するための重要な器官です。この器官は、発生過程が非常に複雑なため、ES細胞からの形成がこれまで不可能でしたが、発生・再生科学総合研究センター器官発生研究グループを中心とする研究チームは、独自に開発した「3次元自己組織化技術」を応用してマウスのES細胞から下垂体を試験管内で形成することに成功しました。

3次元的に培養することで、胚のなかで発生する環境と似せた口腔外胚葉と視床下部組織の相互作用を再現し、下垂体のもとになるラトケ嚢(下垂体原基)を生み出しました。さらにホルモン産生細胞もつくる能力を持つことが分かり、人工下垂体として機能することが立証できました。形成した人工下垂体を下垂体機能不全マウスに移植すると、副腎皮質刺激ホルモンなどの分泌が正常化し、活動量も回復、生存期間も延びました(移植後8週間で、85%が生存;移植しないものはすべて死亡)。

これまで糖尿病以外の内分泌疾患は再生医療の対象としてほとんど考慮されませんでしたが、下垂体という内分泌器官の産生と移植の成功により、より高度な機能再生を目指す「次々世代再生医療」への道が切り開かれるものと期待できます。