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膵臓(すいぞう)β細胞の糖鎖異常が糖尿病発症につながる

−糖鎖がインスリン分泌を決めることを初めて発見−

平成23年8月15日

図 GnT-IVa強制発現によるグルコーストランスポーターの発現維持

日本人に多い生活習慣病の代表とされる2型糖尿病は、インスリンを分泌する、膵臓β細胞の血糖認識機構に障害を引き起こし、血糖のレベルに応じた分泌不全に陥ることが原因の1つとされています。すでに、膵臓β細胞が血糖レベルを認識するために細胞表面にグルコーストランスポーターを発現させ、食物の摂取により得られるグルコースを取り込み、インスリン分泌を引き起こす重要なシグナル発生の仕組みが明らかとなっています。しかし、このグルコーストランスポーターに対して、多分岐型糖鎖修飾を行う糖転移酵素「GnT-IVa」の欠損が、糖尿病の発症への具体的な関与や2型糖尿病の病態形成への関与については不明のままでした。

理研基幹研究所ケミカルバイオロジー研究領域システム糖鎖生物学研究グループ疾患糖鎖研究チームらは、β細胞で起こる多分岐型糖鎖修飾が血糖に応じたインスリン分泌の機能保持に重要で、その異常が2型糖尿病発症の仕組みの一部であることを発見しました。 図 すい臓β細胞内の転写因子FOXA2の局在 具体的には、膵臓β細胞の機能を調節する転写因子が細胞の核外に排出されると、グルコーストランスポーターと糖転移酵素GnT-IVaの発現が低下し、血糖認識機能が失われてインスリン分泌機能が不全となりました。

さらに、この多分岐型糖鎖修飾の機能をGnT-IVaを強制的に発現させて補うと、高脂肪食の摂取が引き起こす2型糖尿病の予防ができることをマウス実験で実証しました。

今回の発見は、2型糖尿病の発症の仕組みの理解や糖尿病治療につながると期待できます。