C型慢性肝炎に起因する肝がん発症に深く関わる遺伝子を発見
−個人個人の肝がん発症リスクが予測可能に−
平成23年7月4日
肝細胞がん(肝がん)は、世界全体のがん患者の数の第7位を占め、死亡者数も第3位で、深刻な「がん」として知られています。この肝がんは、厚生労働省の2010年厚生労働省の人口動態統計では、日本人の死亡患者数が3万人を超え、その約7割がC型肝炎ウイルスの持続感染によって引き起こされています。しかし、これまで、C型慢性肝炎を起因とした肝がんの発症リスクが、男性、高齢者、肝線維化の進展した人が高い傾向があるとされていましたが、具体的な発症の仕組みについては十分に解明されていないままでした。
理研ゲノム医科学研究センター消化器疾患研究チームらは、ヒトゲノム全体に分布する約47万個の一塩基多型(SNP)を調べるゲノムワイド関連解析を駆使し、C型慢性肝炎に起因する肝がんの発症に重要な働きをする一塩基多型の「DEPDC5遺伝子」を発見しました。ゲノムワイド関連解析の解析では、肝がんを発症した212人と発症しなかった765人の日本人のC型慢性肝炎患者集団を調べDEPDC5遺伝子の遺伝子多型が、肝がんの発症に関連していることを発見し、さらに別の日本人のC型慢性肝炎集団についての調査でも、この遺伝子多型が肝がんと強い関係があることを突き止めました。
この遺伝子多型がもたらす肝がんの発症リスクはオッズ比1.96でした。つまり、C型慢性肝炎患者のうち、DEPDC5遺伝子多型を持つ人は発症する可能性は約2倍に高まります。また、このリスクは男性、高齢者、肝線維化の進展した人で、より高くなる傾向が分かりました。これまで明らかにすることができなかった肝がんの発症の仕組みの解明や、個人差のある発症のリスクの予測を可能にすることが期待されます。