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喘息・花粉症の原因物質産生は、合成酵素の2つのアルギニン残基が鍵

−気管支喘息や花粉症の発症機序の理解に加え、新薬剤の開発に寄与−

平成23年3月2日

図 X線結晶構造解析で決定したLTC4Sの三次元構造

風邪を引くと鼻水や鼻づまりに悩まされ、シーズンが到来すれば花粉症で頭痛・涙目・クシャミなどに苦しめられます。これらの症状は、生体防御を担う免疫反応が原因です。気管支喘息やアトピー性皮膚炎も、この生体防御反応が関わっていますが、この反応が過剰になると、アナフィラキシーショックで知られるように、命を脅かす危険さえあります。

免疫反応は、免疫系細胞である肥満細胞が体内に入り込んだ異物を認識すると、システイニルロイコトリエン(Cys-LT)などさまざまな情報伝達物質を放出することで開始します。細胞から放出されたCys-LT は、粘液の分泌促進、毛細血管の透過性亢進など異物排除に欠かせない防御作用を誘導します。このCys-LTの代謝に関わるタンパク質の構造や機能を明らかにすると、気管支喘息や花粉症を含む複雑な生体防御反応を原子レベルで理解し、制御することが可能になります。

放射光科学総合研究センター宮野構造生物物理研究室らは、Cys-LT 産生の鍵となる膜タンパク質の「ロイコトリエンC4合成酵素」(LTC4S)の立体構造を、ヒト由来の膜タンパク質のX線構造解析で最高水準となる1.9Åという高い分解能で解析しました。その結果をもとに、タンパク質工学を使った生化学実験を行ったところ、 LTC4Sの活性部位に存在する2つのアルギニン残基が協調して働くことで酵素機能を発揮することを突き止めました。Cys-LTの特異的な受容体への結合を抑制する薬が、気管支喘息や花粉症に有効とされており、今回の成果は、これらの慢性アレルギー疾患の発症機序の理解に加え、副作用の少ない抗炎症・抗アレルギー創薬につながる可能性が期待できます。