アレルギー発症を決めるゲノム領域「HS2」を発見
-アレルギー発症メカニズムの本質を解明、新たな治療の実現へ-
平成22年12月6日
私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物の侵入を食い止める「免疫」というシステムが備わっています。この免疫システムは、体を守る働きを持つ一方で、アレルギーや免疫不全などの厄介な現象をもたらします。アレルギーは、Th2細胞と呼ばれるヘルパーT細胞が司令塔として働き、IL‐4やIL‐13などのサイトカインを産生して、一連の免疫反応を引き起こすことで生じます。血液中のナイーブT細胞が、アレルギーの基となる花粉などの抗原(アレルゲン)に接すると、 Th2細胞へと分化します。これまで、Th2細胞への分化にIL‐4が関与し、転写因子GATA-3がアレルギーを発症する分子であることが知られていましたが、そのメカニズムの詳細は謎のままでした。
免疫・アレルギー科学総合研究センターのシグナル・ネットワーク研究チームらは、既知の遺伝子配列(ゲノム領域)HS2をIL-4の遺伝子座の中に発見し、 GATA-3がHS2に結合することでIL-4遺伝子の発現スイッチが入るという、アレルギー発症のメカニズムを解明しました。同時に、既知の遺伝子配列CGREがIL-13の遺伝子座に存在することも発見し、 GATA-3がこのHS2とCGREに結合することでIL‐4やIL‐13の発現を別々に制御していることを明らかにしました。
この発見で、GATA-3によるサイトカイン遺伝子の発現制御そのものが、私たちが悩まされるアレルギー発症のメカニズム本質であることが分かりました。この成果を基に、新しい視点に立ったアレルギー治療や個人個人の異なる体質を理解することができると期待できます。