食物アレルギーの画期的な治療法につながる経口免疫寛容の仕組みを発見
−マウスの経口免疫寛容の分子作用機構を世界で初めて証明−
平成22年9月30日
飲食をすると食物アレルギーを引き起こすことがあります。この食物アレルギーの症状は、飲食物の種類や生体の免疫システムの状況によってまちまちです。下痢、じんま疹、湿疹、ぜんそくなどの発症が一般的ですが、卵、ピーナツ、そばの例で知られるように重篤な場合にはアナフィラキシーショックを引き起こし生命を脅かすことにもなります。
食物が通り抜ける「腸管」では、通常、免疫反応を抑制する経口免疫寛容が働き、食物アレルギー反応が起こりません。すなわち、経口免疫寛容が適切に働かないことが原因で、食物アレルギーが発症することになります。これまでの研究から、腸間膜リンパ節を切除したマウスでは、この経口免疫寛容が成立しないことなどが明らかとなっていましたが、詳細なメカニズムは不明なままでした。
免疫・アレルギー科学総合研究センター樹状細胞機能研究チームは、経口免疫寛容が成立するためには、腸管に存在する樹状細胞が共刺激分子として知られているB7−H1とB7−DCという分子を介して免疫制御機能を持つ制御性T細胞を誘導することが必須であることをマウスの実験で初めて明らかにしました。
この経口免疫寛容の成立の仕組みが解明できたことから、この仕組みを使った画期的な食物アレルギーの治療法の開発が期待できます。研究チームは、今後、B7−H1とB7−DCをターゲットにした自己免疫病の分子標的治療の開発を進めていく予定で、社会的な課題の1つであった食物アレルギーの予防を越えた新たな治療に期待されます。