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免疫センサーを制御する動植物に共通な仕組みを解明

−免疫センサーの制御タンパク質複合体の立体構造解析から機能を解く―
平成22年7月30日

図 RAR1-SGT1-HSP90タンパク質複合体形成部位の立体構造

温暖化や農耕地の削減などが原因で、地球規模の作物・食糧不足が深刻化しています。特に、病害による作物への影響は、収量被害が毎年8億人分の食糧に達すると言われ、病気に強い作物を作りだすことが、食糧の安定供給のための最も重要な課題の一つとなっています。

細菌やウイルスなどの病原体から植物の体を守る免疫システムが、この課題克服を可能にすると期待されています。巧妙な免疫システムの主役として、外部からの病原体の侵入をいち早く察知し、その情報を細胞に伝える役割を持つのが「免疫センサー」です。

植物科学研究センター植物免疫研究グループらは、免疫センサーに結合し、その働きを制御する、RAR1-SGT1-HSP90タンパク質複合体の立体構造を解析し、その仕組みを明らかにしました。3つのタンパク質が複合体を形成する部位の立体構造情報を基に解析を行った結果、RAR1は、SGT1とHSP90に直接結合することで複合体の形成を促進し、免疫センサーとの結合を増強すること、また、複合体の機能を高める役割を持つことを発見しました。さらに、これら3つのタンパク質が複合体を形成することが免疫センサーの働きに必須であることを突き止めました。今後、複合体の機能を増強することで、免疫センサーの働きが活性化するような耐病性作物の作出が可能になるかもしれません。また、動物の免疫センサーの制御にも同じシステムが使われていることから、この複合体の立体構造情報を利用したヒトの疾患治療薬の開発につながる可能性も期待できます。