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IP3レセプターは、心不全治療の新しいターゲット

−IP3レセプターを介するカルシウムイオン流出が心肥大の原因に−
平成22年7月9日

心臓のポンプ機能が低下して血液が滞り、全身に十分な酸素を送ることができない慢性心不全は、欧米の先進国で死亡原因が第一位の治療が難しい疾患として知られています。心臓の収縮拡張障害を引き起こし、心肥大や心筋組織の繊維化が観察されます。さらに、カルシウムイオン濃度の上昇で活性化するカルシニューリンなどのシグナル分子が、心肥大形成を引き起こすことが分かっています。しかし、心筋細胞ではカルシウムイオン濃度の変動が大きく、カルシウムイオンが心肥大形成を引き起こすメカニズムは、不明のままでした。

シンシナティ大学と脳科学総合研究センター発生神経生物研究チームらは、生きたマウスの心臓を使って、心肥大の形成に細胞内カルシウムイオンチャンネルであるイノシトール三リン酸受容体(IP3レセプター)がかかわっていることを明らかにしました。具体的には、心肥大を引き起こすGタンパク質共役受容体刺激によってIP3を生成すると、IP3レセプターを介してカルシウムイオンが流出することを突き止め、さらに、このカルシウムイオン流出がカルシニューリンを活性化して、心肥大を引き起こすことを証明しました。

現在、慢性心不全の治療には、Gタンパク質共役受容体刺激を抑制する薬が効果を発揮していますが、心筋細胞でIP3レセプターの機能を制御することで、新しい心不全治療薬の開発が期待されます。