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磁場印加で絶縁体から金属へ相転移するミクロなメカニズムを解明

−相転移現象を利用した新原理のスイッチング素子やメモリーの実現に期待−
平成22年7月9日

図  Nd0.5Sr0.5MnO3薄膜の抵抗率の磁場依存性と顕微鏡像

高分解能の静止画や動画をはじめ、膨大な情報を処理するために、メモリ素子の大容量化、プロセッサの高速化が進んできました。こうしたエレクトロニクス素子の高機能化・高密度化は、最先端の微細加工技術を駆使して達成されてきました。しかし、こうした微細化も原子レベルに達し、近い将来、シリコンを主体とした半導体素子では微細化の限界に達すると懸念されています。

基幹研究所交差相関物性科学研究グループらは、東京大学、東北大学、米国スタンフォード大学と協力し、沢山の電子が有りながら、互いの相互作用により電子が自由に移動できない「電荷整列絶縁体」に磁場を印可すると、雪崩的に電子が動き出して、金属に相転移する様子を観測することに成功しました。

研究グループは、電荷整列絶縁体の代表として知られるマンガン酸化物の薄膜(厚さ30nm)を用意し、温度10K(−263℃)、磁場2.4テスラ〜9テスラの条件下で、約100nmの空間分解能を持つ走査型マイクロ波インピーダンス顕微鏡を使って観測しました。その結果、磁場9テスラでは抵抗率が4桁も減少するとともに、絶縁相の中に細線状の金属相のネットワークが現われることを見いだしました。つまり、絶縁体から金属への相転移は、この細い金属相の伝導パスを通した電気伝導に起因していたのです。

電荷整列絶縁体に、電場や磁場、光などの刺激を与えると、金属への相転移を起こすことが知られています。この現象のメカニズムを明らかにした今回の成果は、相転移現象を活用する、革新的なスイッチング素子やメモリーの実現を可能にすると期待されます。