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抗カビ物質の新たな作用メカニズムを発見、抗真菌剤の謎を解く

―「生理活性物質の化学」と「ゲノム解析」の融合研究で新たな創薬の実現へ―
平成22年6月14日

図 セオネラミドFの化学構造と細胞壁の異常合成

疾患の分子レベルでの解析が進み、病気を引き起こす特定の標的分子が続々と見つかってきて、それらの分子に作用する薬の設計が盛んになっています。一方で、標的分子が不明のまま薬効を発揮する化合物も多く、その作用メカニズムが明らかになると創薬の可能性がさらに広がります。しかし、薬の作用メカニズムを明らかにすることは簡単ではありません。

基幹研究所ケミカルゲノミクス研究グループらは、有用化合物の探索や薬の作用メカニズムの解明に重要な役割をしている「生理活性物質の化学」と、近年進展が著しい「ゲノム解析」の研究を融合し、海洋無脊椎動物の一種である海綿が持つ抗カビ物質「セオネラミド」の作用メカニズムを明らかにしました。具体的には、これまで確立してきた「分裂酵母丸ごとのタンパク質を扱う解析系」を活用し、セオネラミドを含むいくつかの化合物をゲノムワイドにプロファイリングし、そのプロファイリング結果から作用メカニズムを推定して、実験で確かめました。その結果、セオネラミドは従来の抗真菌剤と異なり、細胞壁合成を異常に促進させるという、まったく新しい作用メカニズムを持っていることを発見しました。この新たな作用メカニズムは、新しい種類の抗真菌剤の開発につながる可能性があります。さらに、分裂酵母はヒトと同じ真核生物に属する単細胞微生物で、研究グループが構築した解析系がさまざまな疾患治療薬の作用メカニズムの解明に貢献すると期待できます。