温度によって3つの顔を見せるチタン酸化物の正体に迫る
−謎であったマグネリ相チタン酸化物の2つの顔の正体が明らかに!!−
平成22年3月8日
チタン酸化物は、ファンデーション、乳液などの白色顔料、消臭や外壁の汚れ防止の光触媒など、私たちの身の回りで幅広く活用されています。最近では、親水材料、撥水材料としても注目されています。このチタン酸化物の一種で、マグネリ相と呼ばれるTinO2n-1は、特異な構造を持ち、金属−非金属の相転移を起こしたり、140K(−133℃)以下の極低温まで金属的で反強磁性という奇妙な性質を示したりします。特にTi4O7は、カーボンの2.75倍というTi系マグネリ相最高の電気伝導性を持ち、温度が変わると電気抵抗が3桁も変わる変化が2回起こり、低温相、高温相、中間相の3種類の相が存在します。しかし、この3つの顔を見せるTi4O7 の全容は謎のままでした。
放射光科学総合研究センターの励起秩序研究チームらは、さまざまなエネルギーのX線とレーザー光電子分光装置を活用して、この 3つの顔の正体に迫りました。解析の結果、154K(−119℃)以上の高温相では通常の金属とほぼ同じ物性を示すことが分かり、さらに、高温相(金属相)と低温相(半導体相)との間に挟まれ、大きな謎を秘めていた中間相が、金属でもなく半導体でもない奇妙な異常相であることを発見しました。また、従来の予想に反して、Ti原子のフェルミ準位近傍の電子が比較的よく動きまわっている重要な現象を突き止めました。
Ti4O7は、低炭素社会に貢献する次世代型の燃料電池の有力候補に挙がっており、その電子状態を正確にとらえた今回の成果は、 Ti4O7燃料電池の実現に向けて重要な指針をもたらすことになりました。