脳細胞の先端が、右ねじの方向に回転することを発見
−神経突起は、毎分1回のスピードで回転しながら右に曲がる−
平成22年2月2日
道具を使って課題を解決し、言葉によるコミュニケーションで意思を伝え合い、物事を創造するなど、ヒトの脳は、地球上のどの動物に比べても卓越した機能を発達してきました。この脳の働きを担う神経回路は、多数の神経細胞が複雑で精巧なネットワークを構築して成り立っています。神経回路がどのように構築されるのかを知るために、約100年ほど前から、神経突起が伸びる仕組み、特に、その先端部分の運動様式の研究が精力的に進められています。しかし、培養皿に張り付いた状態の神経突起の観察では、真の姿をとらえることができないままとなっていました。
脳科学総合研究センターの神経成長機構研究チームは、大阪大学の大学院生命機能研究科と共同で、神経突起の動きを3次元的に捉えることに成功し、先端部分が時計回り(右ねじ方向)に回転していることを世界で初めて発見しました。
具体的には、神経細胞をゲル状の培地内で培養する技術を確立し、顕微鏡の対物レンズに向かってくる神経突端の運動を3次元で観察しました。
すると、神経突起先端部の糸状仮足は右ねじ方向に1分間に約1回転していることが初めて分かり、この回転によって神経突起が右に曲がりながら伸びていくことを見いだしました。左右いずれの脳でも、神経突起は右ねじ方向に回転するため、この現象が脳の左右非対称を生み出す新たなメカニズムであると推察できます。
長年見落とされてきた神経突起の運動様式を明らかにするとともに、神経回路の研究に大きな変化をもたらす革新的な成果と期待できます。