主要マメ科作物ダイズのゲノム解析に貢献
−有用作物ダイズの学術研究や品種改良の効率化に期待−
豆腐や味噌、醤油、納豆などと日本人の食生活に親しまれているダイズは、世界的に見ても重要な作物で、肉に匹敵するタンパク質を種子に含有し、油脂分も高く食用油の原料として活用されるなど、その用途は枚挙にいとまがありません。その優れた特徴のため、ダイズは生産量の増加率が最も高い作物の1つに数え上げられています。また、ダイズはマメ科植物で、根粒菌との共生により、空気中の窒素を取り込むという、ほかの主用作物に無い特徴があり、そのメカニズムの解明は大変重要です。
このため、ダイズのさまざまな改良やダイズそのものの研究を推進していくため、モデル植物のシロイヌナズナや日本の主要作物のイネで達成した高精度なゲノム塩基配列の解読と同じように、遺伝子情報の充実化が欠かせません。
ダイズの主要生産国の米国による、発現遺伝子の部分塩基配列情報(EST)の大量収集のほか、日本、EU・米国がそれぞれマメ科のモデル植物のミヤコグサ、タルウマゴヤシのゲノム塩基配列の解読に取り組むなど、ダイズ研究は活発化しています。
理研と米国の研究機関らは、このダイズのゲノム解析に世界で初めて成功しました。特に理研植物科学研究センターのゲノム情報統合化ユニットらは、ダイズ完全長cDNA配列情報を活用してタンパク質遺伝子の解析を行い、約46,000種の遺伝子同定に貢献しました。研究グループは、全ゲノムショットガン法により、ゲノム塩基配列決定を行い、染色体ごとの配列データの集合と高密度な遺伝子地図を作成しました。この遺伝子地図をもとに類似遺伝子の分布などを解析した結果、ダイズは5,900万年前と1,300万年前に全ゲノムの重複が生じ、大きな進化を遂げたことが分かりました。今回得た情報は、有用ダイズ品種開発などの効率化に貢献すると期待できます。