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針状とは異質なヌードル状の低毒性インスリンアミロイド線維を発見

−アルツハイマー病などの一因とされるアミロイドの毒性の謎解明へ光明−
平成21年4月21日

図 インスリンの2種(ニードル状とヌードル状)のアミロイド線維

脳をはじめとする臓器や筋肉など、生体そのものを構成しているタンパク質は、特異的な構造を作り機能を発揮しています。ところが、この折りたたみを誤まると、アミロイド線維を作り出してしまうことがあります。この線維は細胞毒性が強く、アルツハイマー病や狂牛病、ハンチントン病、透明アミロイドーシスなどさまざまな疾患の原因として考えられています。この毒性を持つアミロイド線維は、ニードル(針)状の構造をしていますが、なぜ毒性を持つようになるのかは諸説紛々でした。

図 細胞毒性

理研基幹研究所前田バイオ工学研究室の研究グループは、新たにインスリンの「ヌードル状」のアミロイド線維を発見し、その細胞毒性がニードル状のアミロイド線維に比べて非常に低いことを明らかにしました。

糖尿病治療薬で知られるインスリンは、酸性・高温条件にさらされるとニードル状のアミロイド線維を生成し、高い毒性を示すことが知られています。研究グループは、ウシ由来のインスリンに、還元剤の1種のTCEP(Tris(2-carboxyethyl) phosphine)を加えて、酸性・高温の条件下で恒温静置すると、柔軟な構造を持つヌードル状になることを発見しました。その構造は、ニードル状とは異なるβシートの積層構造であり、細胞毒性がほとんどありませんでした。同じアミノ酸配列を持つタンパク質でも、アミロイド構造が異なることで細胞毒性が変わることを明らかにした今回の成果は、毒性由来の謎を解く手掛かりとなります。