プレスリリース
Home > プレスリリース > 2009年 > NMRで天然ムチンの複雑で独自な立体構造の解析に成功

NMRで天然ムチンの複雑で独自な立体構造の解析に成功

−クラゲ由来の新物質クニウムチンを用い標準的な測定技術を確立−
平成21年4月15日

図 キーホルダーにたとえたムチンの働き

唾液や涙、胃液などに含まれる動物の粘液成分のムチンは、糖タンパク質の一種で、アミノ酸がつながったペプチド骨格に、不均一な糖鎖が枝状に結合した、非常に複雑な構造をしています。 あたかも、たくさんのキーをつけたキーホルダーのように、多様な糖鎖が多種類の鍵穴(結合相手のタンパク質)を認識し、生理機能を発揮します。鍵をたくさん持つことで、さまざまなウイルスや細菌の表面に存在するタンパク質に鍵と鍵穴の関係で結合し、活動を弱めたり、粘液に取り込んで洗い流したりして、異物の侵入を水際で防いでいます。しかし、このムチンの豊かな生理機能を担う多様で不均一な糖鎖が、ムチンの立体構造の解析を難しくしていました。

理研基幹研究所の和田超分子科学研究室の丑田公規専任研究員らは千葉大学と共同で、クラゲ由来の新物質であるクニウムチンをターゲットに最新のNMR技術を駆使し、ムチンのコア部分の立体構造を世界で初めて明らかにしました。図 GalNAc-Thr部分(Oグリコシド結合部分)の立体構造クニウムチンは予想通り、単純な繰り返し配列をしているペプチドがほとんどで、ほかのムチンと異なり、均質なペプチド鎖を持っていることが分かりました。この結果は、天然物として抽出したクニウムムチンの純度や均一性が優れていることを証明し、実用化する上の優位性を示しました。また、確立した解析手法は、複雑な構造を持つ天然ムチンの標準的な解析法として広く活用できるものと期待されます。