臨界温度38ケルビンのフラーレン超伝導体の謎を解明
- モット絶縁体状態から、加圧で電子が動き出し金属状態に変身 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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新しいフラーレン化合物Cs3C60の構造 極低温状態に物質をさらすと電気抵抗がゼロになり、「磁気浮上」を引き起こす超伝導現象は、1911年、オランダのヘイケ・カメルリング・オンネスにより発見されました。発見当時の物質は水銀でしたが、その後、さまざまな物質で超伝導現象が見つかり、1986年にはIBMのアレックス・ミューラーとジョージ・ベドノルツの両博士が35ケルビンで超伝導現象を示すバリウム系銅酸化物を発見し、高温超伝導物質の探査のきっかけとなりました。1991年に、東北大学の谷垣勝己教授(当時はNEC研究員)が発見した有機超伝導体のフラーレンも、33ケルビンで超伝導を示す高温超伝導物質の一つです。2008年に、フラーレンにセシウム元素を添加した新しいフラーレンが、38ケルビンの高い温度で超伝導現象を示し、大きく注目されました。ところが、この新フラーレンは、常圧では超伝導とならず、8キロバールに加圧して初めて超伝導現象を示し、大きな謎となっていました。
図  実験で明らかにしたCs3C60の電子状態の圧力変化 放射光科学総合研究センター高田構造科学研究室や東北大学らが参加した国際共同研究チームは、このフラーレンの構造・電子物性を大型放射光施設SPring-8の高輝度放射光を用いて、多角的に解析しました。その結果、加圧が物質の分子間距離を縮め、電子が動き出すことで金属化し、超伝導現象を引き起こすことを突き止めました。絶縁体から金属に変化する電気的性質を初めて明らかにしたこの成果は、有機超伝導体や銅酸化物超伝導体などまだ謎の多い超電導体の解明や新たな高温超電導体を作る指針を提供すると期待されます。
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