インフルエンザや花粉症の猛威にはワクチンが効果あります・・・ということでワクチンの開発が進んでいます。病気の原因と恐れられるウイルスを弱毒化し、生体が生まれながらに備わっている免疫システムの機能を引き出し、維持させて、強い体にする、という戦略です。ワクチン(抗原)接種により、生体が異物と認識する物質が入り込むと、この抗原を記憶し、再び同じ抗原が侵入したとき、生体防御機能を働かせ、激しく異物を排除してしまいます。
しかし、この戦略の要である「免疫記憶」の現象はナゾであり、どのような機序で抗原を記憶し、数十年の長きにわたって記憶し続けているのかほとんど解明されていませんでした。
免疫・アレルギー科学総合研究センター分化制御研究グループらは、米・ハーバード大学などとの国際共同研究により、免疫記憶の形成と維持に、リン脂質分解酵素として知られている「ホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)」が必須の物質であることを発見しました。
具体的には、Bリンパ球が抗原と出会って活性化したときに、この酵素をコードする遺伝子「 PLCγ2」が発現しないようにプログラムした「コンディショナル・ノックアウトマウス」を作製し解析しました。このマウスは、2度目の抗原が侵入しても、防御反応が強く抑制され、また、免疫記憶に重要な記憶Bリンパ球の数も減少していたのです。
この実験などから、タンパク質PLCγ2が、免疫記憶の形成だけでなく、維持にも必須であることが分かりました。将来、どのようなメカニズムで免疫記憶の維持を担っているのかを明らかにすることで、ワクチンの持続効果が長いワクチンや、逆に、不要な免疫効果をリセットするような治療が可能になると期待できます。
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