酵母ミトコンドリアでは二重らせんをひねらずにDNA組み換えを開始
- 新原理の発見で、試験管内と生体内での仕組みの矛盾を解消 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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超らせんを持たない閉環状二重鎖DNAの上で、外見上超らせんとツイストが変化しないで、反応の進行に必要なツイストの緩みがおこる相同対合のモデル 生命の設計図、遺伝情報の担い手として知られるDNAは、4種の塩基から構成され、10.5塩基対の連なりで1回の右巻きのねじれ(ツイスト)を持つ二重らせん構造をしています。遺伝情報を正確に維持し、伝えていくためのDNAの複製、転写、組み換え反応では、原理的に、この二重らせんのツイストを緩める必要があります。
 組み換え反応では、組み換え相手の単鎖DNA が二重鎖に入り込み、ツイストを緩めます。相補鎖と対合するこの相同対合反応で、 Dループと呼ばれるDNA鎖交換体を作り、 それと連動してDNA全体に左巻きのねじれ(超らせん)が生じます。これまでの研究では、もとの二重鎖が持つ右巻きの超らせんが、生じた左巻きの超らせんを解消するため、Dループが安定化し、相同対合が促進されることが定説になっています。しかし一方で、生体内では、二重鎖DNAは超らせんを持たないDNAとして振る舞う とされ、矛盾があります。
 基幹研究所の柴田遺伝制御科学研究室と吉田化学遺伝学研究室とのグループは、酵母ミトコンドリアに特有のMhr1タンパク質による組み換えで、これまでの予想を覆し、超らせんを生じずに相同対合を起こし、Dループではなく、三重鎖と考えられるDNA鎖交換体をつくることを発見しました。相同対合を促進するとされてきた右向きの超らせんは、逆に反応を妨害していました。この発見は、ヒトのミトコンドリアにもあると予測されている相同対合タンパク質を同定する大きな手掛かりをもたらし、Mhr1のもつホモプラスミー回復機能に依って、ミトコンドリア症の治療につながる可能性を開くことになります。さらに、まだ謎の多い細胞核DNAの相同対合の仕組みを明らかにする端緒となることが期待されます。
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