高温超伝導体の「クーパー対の形」を観察する新手法確立
- 高温超伝導体など、続々登場する風変わりな超伝導体の機構解明に役立つ -
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「クーパー対の形」の模式図と、それを反映した「電子のさざなみの」強度変化 多くの金属を極低温に冷やすと、電気抵抗がゼロになる「超伝導現象」が現れます。この現象は、すでにリニアモーターカーや核磁気共鳴画像装置など、さまざまな分野に応用されています。超伝導現象は、 1957年に米国のJ. バーディーン、L. N. クーパー、J. R. シュリーファーの3人の理論物理学者によって提唱された、2つの電子がペア(クーパー対)を組むことが重要である、という、BCS理論によって解明されました。従来、クーパー対を形成する「のり」の起源は格子振動に基づくとされていましたが、この機構では超伝導状態へ転移する温度に30 K〜40 Kという上限がある、とされていました。
 ところが、銅酸化物超伝導体には転移温度が135 Kにも達する物質があります。また昨年、東京工業大学の細野秀雄教授らによって発見された鉄ヒ素系超伝導体でも、転移温度55Kを持つ物質が合成されています。これらの「高温超伝導体」で、クーパー対を作る新しい「のり」の起源は何か?という謎解きが盛んになっています。
 理研基幹研究所木磁性研究室の花栗哲郎専任研究員らは、クーパー対が切れて生じた「はぐれ電子」を、強い磁場中で散乱させたときに発生する「電子のさざなみ」を観測し、超伝導を引き起こす「のり」の隠れた個性を観察する新手法の開発に成功しました。「のり」の起源に応じてクーパー対はその「形」を変えますが、クーパー対の形が、電子のさざなみに反映されることを、銅酸化物超伝導体において実験的に証明したのです。超伝導を生み出す仕組みの謎に迫る新たな手法を開発したことになります。
 室温で超伝導現象を起こす物質を生み出すことは、人類の夢でもあり、高温超伝導体の個性を分析できる今回の成果は、新たな物質開発につながると期待できます。
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