動植物など地球に存在するすべての生体が活動を続けるためには、生体内の化学反応と呼ばれる「代謝」が鍵を握っています。植物が、太陽エネルギーを利用して、二酸化炭素や水などからでんぷんやセルロースを蓄積したり、人をはじめとした動物や微生物が、これらを食してエネルギー、体を造り上げているのは、すべて、個々の代謝反応と、そのつながりである代謝経路を循環させることで成り立っています。
この生命の根幹となっている代謝反応の全体像は、計測・解析技術が不十分なため、どの生体でも描画できていませんでした。
植物科学研究センター先端NMRメタボミクスユニットの研究チームは、科学技術振興機構のCRESTに参加、13C安定同位体標識技術や異種核多次元NMR計測、代謝経路全体の粗視化法を組み合わせて代謝経路全体を網羅的に観察することに成功しました。
自然界に存在し、代謝の構成物資となっている水素原子(1H)、 13C安定同位体、さらにこの13Cが2つ結合した炭素分子(13C−13C)の様子をNMRを使って追跡するなど、代謝経路を多次元的に網羅観察しました。この技術の確かさはシロイヌナズナ、カイコを使って実証され、健康など漠然とした生理状態の評価の手法として活用することができると期待されます。
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