ヒトをはじめとする生物は、生命の設計図となっているゲノムを変化させ、発展・進化しながら、繁栄を続けています。この躍動する生命の根幹となっているのは、環境の変化など、さまざまな要因により絶えず起こる遺伝情報の書き換えです。その要因の1つが「DNA組換え」で、新たな遺伝情報を獲得し生存を有利に導こうとします。
しかし、このDNA組換えには、生命が破滅する危険も伴います。細胞死やがん化、老化などがその代表例です。このため、生物はこの危機を回避するさまざまな機能も備えています。
放射光科学総合研究センター放射光システム生物学研究グループらは、進化の起源に近いとされている高度好熱菌サーマス・サーモフィラスを活用して、DNA組換え反応の初期の中間体を好んで切断する酵素「MutS2」を同定するとともに、新規のDNA組換え抑制機構を明らかにしました。発見した抑制機構は、遺伝情報を安定化させるもので、生命の進化か危険回避かの生命の重要な選択を制御していると考えられます。
高度好熱菌は、あらゆる生物に共通したタンパク質を約500種類持っており、これらの機能を解明できると、ヒトを含めた高等生物の生命現象の理解につながり、生命の進化はもとより、病気のリスクの回避などに重要な知見を得ることが期待できます。
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