「免疫」とは、体内に入り込んだ病原体や花粉などの異物を認識して排除する防御システムのことで、私たちの体の危機管理を担当しています。体内に異物が侵入すると、まず、抗原提示細胞が異物をそれと認識して飲み込み、「これが異物(抗原)だ」、とT細胞に提示します。提示を受けたT細胞は、免疫の司令塔としてさまざまなサイトカインを放出したり、侵入してきた細胞を殺したり、B細胞に抗原と結合する抗体を産生させたりします。
この重要な働きを担うT細胞が抗原提示細胞から抗原の情報を受け取る際、T細胞と抗原提示細胞は強固に接着し、「免疫シナプス」という構造を作ります。しかし、免疫シナプスができあがる前に、T細胞受容体からなる微細な集合体「ミクロクラスター」が形成され、T細胞の活性化のユニットとして働いていることが最近わかってきました。
免疫・アレルギー科学総合研究センターの免疫シグナル研究グループは、T細胞の補助刺激受容体CD28を含む「ミクロクラスター」を発見し、CD28が特異的な酵素「プロテインキナーゼCθ」を呼び寄せ、T細胞の活性化を劇的に増大させることを明らかにしました。ミクロクラスターは、接着後5〜10分と進むにつれて接着面の中心部に集まり、T細胞受容体自身は不活性化されますが、CD28とプロテインキナーゼCθはT細胞受容体から解離してその周辺に集まり、T細胞の活性化を維持していることがわかりました。
CD28からのシグナルを増減させることで、T細胞の活性化を調整することができます。今後、アレルギー疾患やアトピー性皮膚炎などに用いられる免疫抑制剤やがん治療に対する免疫賦活剤などの開発に貢献すると期待されます。
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