地球温暖化に影響をおよぼしているといわれる二酸化炭素。そのガス分子の大きさは0.33ナノメートル、一方、空気の組成の大部分をしめている窒素ガス分子は0.36ナノメートルという大きさです。
カーボンナノチューブのように、分子と分子の間に空間を持たせて秩序よく並べることができると、その空間を使って色々なガスを分離したり、吸着したりすることができます。ガス分子を選択的に手軽に分離し、貯蔵するニーズは工業利用や日常生活でも多く、さまざまな機能性材料が開発され、例えば、多孔性金属錯体などが登場しています。しかし、多くの場合、これらの物質は構造が複雑で、分離・吸着のメカニズムは明らかとなっていませんでした。
理研放射光科学総合研究センター空間秩序研究チームは、科学技術振興機構、京都大学らとともに0.3ナノメートルと0.8ナノメートルの2つの細孔が均一に並ぶアルミニウム多孔性金属錯体「Al(OH)(NDC)」(ナノ孔物質)を合成、ガスの分離・吸着のメカニズムを解明することに成功しました。
このナノ孔物質は、手軽に手に入る硝酸アルミニウムを原料に、疎水性の性質を持つナフタレンジカルボン酸を180℃の温水中で1日加熱して合成しました。この結晶に粉末X線結晶構造解析法を用いて、2つのナノ細孔の構造を詳細に解明、さらに、固体NMR測定を用いて高い分解能でガス吸着の様子を観察しました。その結果0.44ナノメートルの大きさのキセノンガス分子は0.8ナノメートルの細孔だけに取り込まれ、約100ヘルツというゆっくりしたスピードで、細孔内外を平行に動いていることがわかりました。
今後、粉末X線結晶構造解析と固体NMR測定を併用することで、ガス分子の貯蔵・分離を正確に評価することができるとともに、疎水性・親水性といった化学特性、ナノ細孔のサイズをデザインすることができます。また、ナノ孔物質は、似た大きさのサイズをもつガスの貯蔵・分離に貢献すると注目されます。
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