エネルギー恒常性維持にかかわるグルコース応答細胞膜受容体を発見
−膜タンパク質BOSSが、細胞外グルコース応答に関与−
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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図 BOSS欠損変異体ではインスリンシグナル活性が低下している  ブドウ糖として知られるグルコースは、重要なエネルギー源であるとともに、エネルギー状態を伝えるシグナル分子としても機能します。ヒトをはじめとする生物は、血中にある過剰エネルギー成分を細胞内に脂肪滴として貯蔵し、激しい運動や飢餓時に、貯蓄した脂質を分解・放出してエネルギーを補充します。グルコースの枯渇は脳の神経細胞を死に導き、血糖値の異常は糖尿病の原因となり、メタボリックシンドロームの発症につながります。したがって、生物には、体内に貯蔵しているエネルギー状態を感知し、エネルギー消費とのバランスを保つための何らかの機構が存在していると考えられてきました。
 これまでに、このような機構でエネルギー(栄養)センサーの働きをする細胞膜受容体は酵母でしか見つかっておらず、多細胞生物では、存在が予想されながら確認できていませんでした。
 理研脳科学総合研究センター平林研究ユニットらの研究グループは、膜タンパク質の1つである「BOSS受容体」が、細胞外のグルコース濃度変化の情報を細胞内に伝えるエネルギーセンサーとして働くことをショウジョウバエで発見しました。
 BOSS受容体を培養細胞に発現させ、グルコースの刺激を与えて応答性を調べたところ、グルコース濃度変化に反応して、細胞内にシグナルを伝えることを確認しました。同時に、BOSS欠損ショウジョウバエは、絶食環境に置かれると短時間で個体死にいたることがわかりました。これは、エネルギーの消費バランスを維持できず、脂肪体に貯蓄していた脂質を急激に消費し続けてしまうことが原因でした。 boss遺伝子は、線虫からヒトまで広く存在しており、私たちが抱える肥満や糖尿病などの代謝疾患に新たな治療法を提案することが期待できます。
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