鉄との合金に重要なレアメタルの生成現場を宇宙で初めて確認
- ティコの超新星の残骸をX線天文衛星「すざく」で精密観測 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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図 「すざく」でみたティコの超新星残骸  RIKEN/Tamagawa 夜空にきらめく星は、一生を終える時、超新星と呼ぶ大爆発を起こして宇宙に飛び散り、消え去ります。超新星爆発では、身の回りに存在しているあらゆる元素が生み出され、いわば、宇宙の錬金術師と言えます。1572年、デンマークの著名な天文学者のティコ・ブラーエ(Tycho Brahe)は、北天でWの文字に輝くカシオペア座において、核融合暴走型の超新星爆発を肉眼で観測しました。通称「ティコの超新星」(SN1572)と呼ばれるものです。核融合暴走型の超新星爆発は、宇宙全体の超新星爆発の約3分の1を占め、宇宙に存在する「鉄」の大半を生産します。つまり、このような超新星爆発で錬金の具合いを知ることは、宇宙の進化を見極めることにつながるのです。
 基幹研究所牧島宇宙放射線研究室の研究グループは、わが国で5番目のX線天文衛星「すざく」を駆使し、ティコの超新星の残骸が、レアメタルの一種であるクロム、マンガンの生産現場であることを発見しました。残骸をX線で精密に測定したところ、電離した鉄の強いシグナルに加えて、クロム、マンガンが発する微弱なX線のシグナルを観察、核融合暴走型の爆発がその生産現場に間違いないことを確定しました。
 さらに、電離しているケイ素、硫黄、アルゴン、鉄から発する強いX線のシグナルを詳細に観測し、超新星の2次元的な広がりに加えて奥行き方向の測定にも成功、爆発時に生成した元素がどのように飛散し分布しているかという、元素の立体分散構造を世界で初めて明らかにしました。最新の3次元シミュレーション研究では、爆発時に生成した元素は混じりあっていると予想されていました。しかし、今回の観測結果によると、元素の重さの順に層状に並んだ「まん丸なタマネギ構造」というシンプルなものであるとわかりました。今後、さらに遠方の宇宙(昔の宇宙)を観測することで、さまざまな超新星爆発の振る舞いが、太古の宇宙でも同じメカニズムなのか、という謎を解くことが可能となります。
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