組織のダメージを感知して炎症を引き起こす受容体を発見
- マクロファージが担う生体危機管理システムのメカニズムを解明 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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図 Mincleシグナルのマクロファージでの働き
 風邪のウイルスやさまざまな病原菌による感染、あるいは火傷や打撲など、私たちの身体は、ダメージを受けるとそれに対応するように免疫システムが働き、防御します。通常、細胞は役目を終えたり、寿命になると、一定の割合で死んでいきます。この死細胞は、マクロファージ(食細胞)によって速やかに取り込まれ炎症を起こすことありません。
 ところが、身体にダメージを与えるような大量の死細胞が発生する状況になると、マクロファージが炎症性サイトカインを放出、血液中の好中球を集めるなどして炎症反応が起こります。しかし、この炎症反応を引き起こすメカニズムは未知のままでした。何故炎症反応がおこるのか? 炎症反応の役割は何か? 生体の危機管理システムの解明が待たれていました。
 免疫・アレルギー科学研究センター免疫シグナル研究グループは、主にマクロファージに発現し、細胞にストレスが加わると誘導されるタンパク質「Mincle」に着目しました。その結果、Mincleが自己組織の損傷を感知し、炎症を誘引する受容体であること発見、炎症反応の謎ときを前進させました。そのメカニズムは、 受容体Mincleと、情報伝達を担うタンパク質「FcRγ」が細胞膜領域内で電気的に引き合い(会合)、炎症性サイトカインの生産を促すというものです。 Mincle抗体を投与しておいたマウスでは、組織ダメージ後の炎症性サイトカインの産生が見られないなどの知見も得ています。さらに、核内に存在するタンパク質「SAP130」が、細胞死に伴って細胞外に放出されると、Mincleはこれを感知し、好中球を動因、その部位に炎症反応を引き起こすことも明らかにしました。
 組織がダメージを受けたときには、死細胞の除去とともに組織の再構築、修復が重要です。Mincleの機能の発見は、組織再生や再生医療に新たな道を提供することになります。
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