病原菌感染に対する植物の防御応答を抑制する遺伝子を発見
- 細菌やカビなどの病原菌に対する植物免疫反応の新たな制御のしくみが明らかに -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
リリース本文へ
図 PUB22,PUB23,PUB24は、べと病菌糸が接触した細胞で発現  人をはじめとする動物では、リンパ球など特別な免疫細胞が、病原菌やウイルスなどの異物を認識し、排除する生体防御システムを持っています。植物は、こうした特別な免疫細胞を持たない代わりに、個々の細胞が病原体を認識し、防御反応を行なう自然免疫能を発達させ、感染から身を守っています。自然免疫能は、ヒトやショウジョウバエでも存在しますが、植物にとって重要な耐病性戦略の1つです。
 植物の自然免疫では、細胞表面のパターン認識受容体が、微生物分子パターン(MAMPs)を検出することで、植物細胞が感染を察知します。細菌のべん毛やカビの細胞壁の主成分であるキチンなどが、植物が認識するMAMPとして知られています。 パターン認識受容体からの感染シグナルは、細胞内情報伝達によって核や細胞質に伝わり、微生物の細胞壁を壊す酵素遺伝子の発現や抗菌性化合物の生合成などが起こります。このような防御反応によって、植物は病原体を排除します。
 植物科学研究センター植物免疫研究チームは、病原菌に対する防御反応を抑制する3つの遺伝子を見つけ、植物が防御反応を適度に抑えるしくみを保有していることを、世界で初めて明らかにしました。
 研究チームは、MAMPsによって発現が上昇する3つの遺伝子「PUB22」「PUB23」「PUB24」に着目し、それらの役割を調べました。この3つの遺伝子がすべて働かないようにしたシロイヌナズナの変異株は、病原体に対する防御反応が強くなる現象を発見しました。実際に野生株と比較して、この変異株は、ベと病菌やトマト斑葉細菌病菌に対して抵抗性が上昇し、特に、トマト斑葉細菌病菌に対しては、約32倍も抵抗性が上昇することがわかりました。このような結果から、これら3つの遺伝子は防衛反応を抑制するブレーキ役として働いていることが判明しました。
 これらの遺伝子の機能を制御することで、広範囲の病原菌に対して、強い抵抗性を持つ作物の開発が期待できます。
リリース本文へ
copyright (c) RIKEN, Japan. All rights reserved.