脳を一定の大きさに発生させる自動調節機構を解明
- 臓器のサイズを制御するメカニズムの発見 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
リリース本文へ
図 ONT1が、脳発生の量的頑強性(発生量の一定化)に必須な実験結果 生物は1つの受精卵が繰り返し分裂し、細胞を増やしながら多様で多彩な細胞・組織を形成していきます。さらに組織は、脳をはじめとする高度な機能を持ったさまざまな器官へと発生、生命を獲得していきます。
 その発生過程で、脳や心臓などの主要な臓器の大きさは、環境の影響を受けず、ほぼ一定に発生し、個体差はわずかです。例えば哺乳類の場合、胎児の環境の条件は母親の栄養状態や発熱などで変わりますが、胚や胎児であれば、多くの場合、個々の器官や前駆組織のサイズはほぼ一定になることが知られています。これは、発生学の歴史の中でも大きな謎の1つとなっています。
 発生・再生科学総合研究センター細胞分化・器官発生研究グループは、脊椎動物の初期胚が、常に一定の大きさで脳組織を発生させる機構を明らかにし、この謎に1つの答えを示しました。その機構とは、脳の発生を促進する神経誘導因子「コーディン」の量を、新規の分泌タンパク質「ONT1」が自動的に調整し、神経誘導の活性が一定に保たれるというものです。アフリカツメガエルの系を使った研究で「ONT1」の機能を消失させると、胚の中の脳組織の量が不安定になり、コーディンが少しでも多く働くと、巨大化した脳が発生することがわかりました。
 発生学の謎を解いた今回の発見は、次世代の再生医学に必須である、ES細胞などから正しいサイズ・形の組織・臓器を誘導する技術開発に大きく貢献すると期待されます。
リリース本文へ
copyright (c) RIKEN, Japan. All rights reserved.