GABA抑制の促進がアルツハイマー病の記憶障害に関与
- GABA受容体阻害剤が、モデルマウスの記憶を改善 -
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図 モリス水迷路による空間学習・記憶機能の評価 物忘れに始まり認知障害へと徐々に進行していくアルツハイマー病は、発症すると究極的には介護が欠かせない状況となる深刻な病で、急ピッチで進む高齢化社会で大きな問題となってます。その患者数は、世界保健機構(WHO)の調べで、1,800万人と増大しています。
 アルツハイマー病では、約40個のアミノ酸からなるタンパク質「βアミロイド」が大脳皮質や海馬に凝集してできる老人班、微小管結合タンパク質の1つ「タウタンパク質」が蓄積して引き起こす神経原線維変化、という2つの病理学的特徴が知られています。一方で、アルツハイマー病は長年かかって発症・進行することから、臨床的には「老化」が脳の機能不全を引き起こす、最も大きな要因と考えられます。
 理研・脳科学総合研究センターアルツハイマー病研究チームは、埼玉大学と協力し、βアミロイドの凝集と老化という2つの異なる要因の、記憶障害につながる共通の機構を研究しました。
 具体的には、βアミロイドを過剰発現する若年期のアルツハイマー病モデルマウスと野生型老齢マウスではGABA抑制機構が異常に促進し 、記憶の形成をつかさどる海馬のシナプス可塑性が低下していることを発見しました。 さらに、GABA受容体の阻害剤を投与するとモデルマウスの記憶障害が改善することを世界で初めて明らかにしました。これらの研究の結果、GABA抑制の異常促進によるシナプス可塑性の低下が、βアミロイドと老化による記憶障害の共通な発症機構であることがわかりました。
  GABA抑制機構を含む恒常性維持のための可塑性を制御し、神経ネットワーク異常を調整することで、記憶障害を改善するという新たな治療戦略の可能性を提示する成果をもたらしました。
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