作物が豊かに実るには、燦々と降り注ぐ太陽エネルギーをしっかりと受け止める葉が多くの枝に生い茂ることが重要です。枝別れは、多すぎると花や実が過剰になり品質低下を招きます。一方、少なすぎると実や穂の数が減り収穫量に影響します。園芸作物の業界では、枝をできるだけ分かれさせたり、逆に枝を間引いて大輪や見栄えのする花・果実を作り出す、という工夫で、品評を競うことが日常的に行なわれています。
自然界における植物の生存競争の原点となる枝分かれは、オーキシンとサイトカイニンという2つのホルモンの関わりが知られており、園芸作物の開発に利用されてきました。
理研植物科学研究センターの促進制御研究チームらは、この枝分かれを制御する新たなホルモン「枝分かれ抑制ホルモン」を世界で初めて発見しました。発見したホルモンの正体は、植物と、その根の周りで働く微生物などとのコミュニケーション物質として知られていた「ストリゴラクトン」。イネの分げつ(枝分かれ)が異常に多く、背丈が小さくなる分げつ矮性変異体の解析でわかりました。
この化学物質「ストリゴラクトン」は、植物の根から分泌されます。植物の栄養吸収などを助ける共生菌 を呼び寄せる効果がある一方、アフリカでは、日本の農耕地の約500万ヘクタールをはるかに超える、数1000万ヘクタールに被害をもたらす厄介な根寄生植物の種子の発芽を誘引することでも知られています。研究チームは、ストリゴラクトンの生合成遺伝子を欠損させた枝分かれ過剰突然変異体が、この被害を低減させるのに有効であることも明らかにしました。作物の実りを確かにし、根寄生雑草の防除への応用が期待されます。
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