芽を出した場所から動くことができない植物には、乾燥、低温、塩などのさまざまな環境ストレスに適応して生き抜いていく能力が備わっています。その機能のメカニズムを知ることができると、より機能を強化した環境ストレスに強い作物を産み出すことが可能となり、地球規模で緊急の課題とされている食糧不足、環境問題、さらにはエネルギー問題などの解消に大きく貢献します。
植物科学研究センター植物ゲノム発現研究チームは、モデル植物となっているシロイヌナズナの環境ストレスに対する応答メカニズムを遺伝子レベルで調べ、新規のタンパク質をコードしない転写産物を大量に同定しました。具体的には、シロイヌナズナを環境ストレスにさらし、ゲノムDNAから転写するRNAを、タイリングアレイの手法を用いて、網羅的に解析することにより、ストレスで発現応答する遺伝子や転写産物をすべて明らかにしました。解析の結果、 7,328種の新規ノンコーディングRNAを同定し、そのうち80%がタンパク質をコードする遺伝子(センス鎖)の反対鎖にあるアンチセンスRNAであることを突き止めました。さらに、アンチセンスRNAとセンスRNAのストレスの転写産物が、同じ傾向で発現することを見いだしました。
研究チームが、今回の研究から得た情報は、理研のホームページからすべて公開しました。世界中の研究者がこれを自由に活用することで、環境ストレスに対する応答メカニズムの解明が進むと、耐性作物、耐性樹木などの分子育種が実現に近づき、地球規模の課題を解消すると期待されます。
|