小型で軽量なエレクトロニクス素子としてさまざまな夢を現実にしてきた半導体は、いまや世界中の人々に欠かせない存在です。発光ダイオード(LED)も、その重要性を増し、さまざまな波長の発光素子開発が進み、難しかった短波長である青色発光ダイオードが、わが国の研究者の手によって実現し、世界中をニュースが飛び回りました。
さらに、短波長の200ナノメートルから350ナノメートルの深紫外領域の光は、殺菌効果をはじめダイオキシンなどの公害物質の分解、高密度光記録など幅広い分野に革新をもたらすと大きな期待が寄せられています。そのため、日米をはじめ開発が激化しており、殺菌波長の270ナノメートル領域で、出力1ミリワット程度の光を室温で連続動作させたLEDを実現したのは、理研と米国サウスカロライナ大学だけです。米国の研究チームは、国防高等研究計画局の協力を得て、製品化した状態で波長280ナノメートル、出力8ミリワットの世界記録を達成していました。
理研知的財産戦略センター 産業界との融合連携研究プログラムの高効率LEDデバイス研究チームは、松下電工と協力し、波長280ナノメートルの深紫外光を、これまでの世界記録を凌駕する、単独素子の状態で出力10.6ミリワットのLED開発に成功しました。開発したLEDは、深紫外領域で光を発する窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)にインジウム(In)元素を数%添加した4元混晶を半導体材料にしたものです。
今回の成果により、小型軽量という特性を発揮した携帯用小型殺菌灯など実用化が期待できます。さらなる高品質化や製品化に向けた最適化などを行い、ワットレベルの出力が得られれば、汚染物質などを高速処理する応用分野でも威力を発揮するLEDが誕生すると注目されます。
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