鉛筆の芯やダイヤモンドの原料である炭素を用いてナノメートル(10億分の1メートル)の大きさのチューブを作ると、鋼鉄より強い、曲げても折れないしなやかさを持つ、など夢の機能を発揮するようになります。炭素ナノチューブとよばれるこれらの材料には、新産業を創出する夢の新素材として、大きな期待がよせられています。
理研、科学技術振興機構、高輝度光科学研究センターらの研究グループは、有機半導体として知られているヘキサペリヘキサベンゾコネンという分子が自己組織化により第2の炭素ナノチューブとも呼ぶべき構造体を形成することを発表していましたが、今回、SPring-8 の放射光を用いてその詳細な分子構造配列の解明に成功しました。
自己組織化ナノチューブの方向をそろえてX線の回折精度を高め、得られた回折パターンを解析し、分子配列の詳細を世界ではじめて明らかにしたのは、グラファイト状分子が2分子で対をつくり、らせん状にチューブを作り上げる姿でした。 2つの分子が対をつくり、少しずつずれながら積層してらせんを作る様子は、生命の根源であるDNAの2重らせん構造をほうふつとさせる構造です。さらに、分子構造を変えながら詳しく自己組織化について検討し、ナノチューブの形成に必要な条件をみいだしました。
分子の自己組織化は、動物をはじめ植物、微生物にいたる、あらゆる生物でおきています。第2の炭素ナノチューブの構造解析の成功は、分子の自己組織化構造体を用いた電界効果トランジスタや太陽電池などの実現に向けた大きな一歩と成るとともに、自己組織化の現象の理解と、生体系の「やわらかい集合体」の構造を見いだす有効な手法の確立が期待できます。
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