受精した卵は、分裂を繰り返し、体を構成するさまざまな種類の細胞に分化可能な細胞集団(多能性細胞)を生じます。この多能性細胞を細胞株として樹立したものが胚性幹細胞(ES細胞)です。多能性細胞は、その後系統的に分化し、体細胞へと成長していきますが、その最初の過程が胚葉形成です。胚葉形成では外胚葉、中胚葉、内胚葉という3種の細胞分化が起こり、外胚葉から神経組織、皮膚表皮組織、感覚組織などが、中胚葉から筋肉組織、骨格組織、血液組織などが、さらに内胚葉から消化器、呼吸器などが発生していきます。
3つの胚葉への分化決定は、多能性細胞から多様な体細胞を生み出す最初の分岐点といえます。これまで、中胚葉、内胚葉の分化制御はわかっていましたが、外胚葉への分化制御機構は謎のままでした。
理研発生・再生科学総合研究センターの細胞分化・器官発生研究グループは、アフリカツメガエルを使って、この初期発生の大きな謎であった外胚葉の分化を決定する因子が、Zn(ジンク)フィンガー型の核内タンパク質「XFDL156」であることを発見しました。この発見は、外胚葉形成の分子機構を初めて明らかにしたもので、ES細胞などの多能性幹細胞から神経系細胞などへ選択的に分化誘導する手法の開発促進が期待できます。
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