加速器などを用いて、自然界には存在しない不安定な原子核「不安定核」を生成することができます。不安定核は、その名の通り、一瞬に生まれ、消滅してししまうため、大きさやその構造を解明するために、様々な工夫が必要になっています。
理研仁科加速器研究センターのRI・電子散乱装置開発チームは、不安定核の大きさや陽子分布を調べることができる「電子散乱法による不安定核の陽子分布測定法(SCRIT法)」の開発に世界で初めて成功しました。
この手法は、電子を加速した蓄積リングと理研が独自に開発した精密イオン捕獲電場発生装置などを組み込んだ「RI標的捕獲装置」を使って、不安定核(RI)を捕獲・固定して電子ビームに衝突させ、原子核の大きさや形、構成している陽子や中性子などの分布を測定する手法です。蓄積リングの中では大電流電子ビームを非常に細く絞り込むことができ、電子の通り道の狭い空間にだけ必要最小限のイオンを集中させることができます。これにより、電子散乱に必要な原子核数を13 桁も少なくし、わずか1,000 万個で鮮明な原子核を“見る”ことを可能にする技術を確立しました。
具体的には、京都大学化学研究所の電子蓄積リングKSRにプロトタイプのRI標的捕獲装置を組み込み、不安定核に見立てた「セシウム」イオンを電子ビームに沿うように流し込み、セシウムを捕獲・固定し、十分に電子の衝突と散乱が起きることを確認しました。未知の不安定核の観察を可能にする技術が確立することになったと注目されます。
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