電荷の不均一状態がキッカケとなる超伝導現象を有機材料で発見
- 格子揺らぎやスピン揺らぎで説明できない電気伝導の謎を解く -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
リリース本文へ
4量体における可能な電荷配列(左:●イオン的分子、○中性的分子)と ベータダブルプライム型BEDT-TTF塩の伝導層における分子の並び方(右)
 電気抵抗がゼロになり、物質の内部から磁場を排除し磁気浮上を引き起こす超伝導現象は、エネルギーや輸送などの手段に革新を巻き起こしています。 1911年にオランダのヘイケ・カメルリング・オネスが水銀を液体ヘリウムで4.2Kに冷やして発見して以来、さまざまな物質でこの超伝導現象が見つかり、1986年にはベドノルツとミュラーが30Kでこの現象を起こす高温超電導物質を発見しました。目下、室温でも現象を引き起こす物質を探す競争がはじまっています。
 しかし、さまざまな物質が見つかっているにもかかわらず、超伝導現象はいまだに説明がついていません。電子が対になって素早く動くため、いや電子が互いを斥け合う力が・・・などと部分的に説明できる理論はあっても、その現象は完全に解明できていません。
 基幹研究所加藤分子物性研究室は、分子科学研究所、兵庫県立大学などと協力し、物質を構成する分子内振動を直接測定することができる赤外線分光法とラマン分光法を使って、電荷が特定の場所に短時間だけとどまる「電荷不均一状態」が超伝導現象を引き起こすキッカケとなることを有機材料で発見しました。常に反発しあう電荷同士が、整列したり動き回ったり、どんな状態をとるかで、絶縁体、超伝導、金属さらには不良金属へと変わる様子を観測して新たな結論を得ることができました。
 電子そのものの動きや電子のスピンの様子などを観察して、超伝導現象を調べる研究は盛んに行なわれていましたが、電荷と電荷が占める位置の関係に着目して、その様子を詳細観測することで超伝導現象のキッカケをとらえ、その機構を明らかにしたのは世界で初めてです。いまだ確かな説明ができない超伝導現象の謎の解明や、電荷の配置を調整して新たな超伝導物質の開発を可能にすると期待されます。
リリース本文へ
copyright (c) RIKEN, Japan. All rights reserved.