シロアリ腸内共生微生物のゲノム解読に世界で初めて成功
- 培養することができない微生物の機能解明への突破口 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
リリース本文へ
ヤマトシロアリの腸内に共生している原生生物、さらにその細胞内に共生している細菌(Rs-D17)
 木造家屋を食い荒らす厄介な害虫としてのシロアリ。森林の中では、倒木を分解して他の生物が利用できる形にするという、非常に重要な役割を担っています。木質の主成分であるセルロースを分解するこの能力は、木質系のバイオ燃料を創出する研究に応用するため、分解メカニズムが注目されています。
 シロアリは、栄養価のない木質だけを食べて、盛んに繁殖していきますが、これは、腸内に共生する原生生物や細菌が、それぞれの役目を担って、持ちつ持たれつ、機能しているためです。いわば、シロアリと、共生する微生物群がスクラムを組んで、木質を分解する1つの工場として働いているのです。その実態を調べるためには、共生している微生物の機能を知ることが必要です。しかし、シロアリの腸内に共生する原生生物と細菌は合計で1,000種近くに達するのですが、その大多数が培養できないため、個々の役割はほとんど未知のままでした。
 理研中央研究所 環境分子生物学研究室と理研ゲノム科学総合研究センター ゲノム基盤施設シーケンス技術チーム、システム基本情報解析研究チームは、ヤマトシロアリの腸内に共生する原生生物の、さらにその細胞内に共生している、培養不可能な細菌のゲノムを、 DNA合成酵素を使って直接増やすことで、ゲノムの完全長配列の取得に成功しました。ゲノムの大きさは1.1メガ塩基で、一般的な細菌に比べて縮小していました。これは、不要な遺伝子群を消失させ、シロアリや原生生物が必要とするアミノ酸やビタミン類合成に特化したためであることが明らかとなりました。
 今回確立した解析手法を用いれば、シロアリ腸内に共生する他の細菌や、原生生物のゲノム解析も可能となり、シロアリの木質分解機構や、腸内微生物との複雑な共生関係が、飛躍的に解明されることが期待できます。
リリース本文へ
copyright (c) RIKEN, Japan. All rights reserved.