メタボリックシンドロームの元凶と恐れられる太り過ぎは、過食して余ったエネルギーを脂肪(脂肪酸)として蓄えるシステムが働いた結果です。蓄積した脂肪は、厳しい環境で生きる野生動物にとっては、生命活動の維持に必要なエネルギー源として不可欠ですが、食糧事情が安定している人間にとっては肥満や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因となっています。
細胞の中で脂肪酸を合成する働きを制御することができると、生活習慣病を防ぐ新たな道が拓けます。
放射光科学総合研究センタータンパク質結晶構造解析研究チームは、この脂肪酸合成の初期に活躍する酵素「アセチルCoAカルボキシラーゼ」にその活性化を触媒する酵素が結合した瞬間のタンパク質複合体の結晶化に成功し、その構造を世界で初めて解明しました。このタンパク質複合体は不安定で、これまで結晶化が不可能でした。今回、活性化酵素の変異体を使うことで安定した複合体をつくり、問題を解決しました。
この方法を活用すると、結晶化が難しいとされてきたタンパク質の結晶化と構造解析が実現でき、機能の解明が可能となります。また、今回の結晶構造解析で得た脂肪酸の合成に関する知見は、医薬開発の基盤となる情報となり、生活習慣病やメタボリックッシンドロームの治療薬開発に結びつくものと期待されます。
|