| ※1 |
アセチルCoAカルボキシラーゼ |
| ビタミンの1種であるビオチンを化学的に結合することで活性化する「ビオチン依存性カルボキシラーゼ」と呼ばれる酵素の1種。4種類のサブユニットあるいはドメインから成る分子量45万の大型タンパク質。クエン酸による調節を受け巨大な繊維状ポリマーになることでさらに活性化される。アセチルCoAカルボキシラーゼは、脂肪酸の生合成の最初の段階でアセチルCoAへ炭酸を付加し、マロニルCoAを産生する。この反応は数段階の素反応を含む複雑な反応であり、地球温暖化問題を解決する切り札として注目されている炭酸固定反応でもある。この酵素の遺伝子を破壊した変異体マウスは食物の過剰摂取による肥満がなく、筋肉が発達して健康で寿命も平均的という実験結果が報告されており、生活習慣病治療のためのターゲットタンパク質として注目されている。 |
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| ※2 |
古細菌 |
| ヒトを含む真核生物、バクテリアなどの原核生物と並ぶ、生物の第3のグループ。温泉の源泉など、通常の生物では生体物質が熱で変性してしまうために生きられないような環境を好んで生息する。これらから抽出したタンパク質は熱に強く、実験を行う上で都合がよいため、タンパク質研究によく用いられる。今回の研究対象タンパク質であるBCCPおよびBPLは、ヒトと古細菌の間でアミノ酸配列がよく似ているため、モデル生物として古細菌を用いてビオチン化の仕組みを解明することは、ヒトにおけるそれを明らかにすることと直結していると言える。 |
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| ※3 |
大型放射光施設SPring-8 |
| 理化学研究所が所有する、兵庫県播磨科学公園都市にある大型共同利用施設。ほぼ光速で進む電子が、その進行方向を磁石などによって変えられると接線方向に電磁波が発生する。これが「放射光(シンクロトロン放射)」と呼ばれるものであり、電子のエネルギーが高く、進行方向の変化が大きいほど、X線などの短い波長の光を含むようになる。特に第3世代の大型放射光施設と呼ばれるものには、理研のSPring-8、APS(アメリカ)、ESRF(フランス)の3つがある。SPring-8(電子の加速エネルギー:80億電子ボルト)の場合、遠赤外から可視光線、真空紫外、軟X線を経て硬X線に至る幅広い波長域で放射光を得ることができる。国内外の研究者の共同利用施設として、物質科学・地球科学・生命科学・環境科学・産業利用などの幅広い分野で利用されている。年間の利用者は、11,000人にものぼる。 |
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| ※4 |
基質 |
| 酵素の触媒する反応の原料となる物質を一般的に基質と呼ぶ。BPLの触媒するBCCPタンパク質のビオチン化反応では、ATP(アデノシン三リン酸)・ビオチン・BCCPの3種類の基質がある。今回注目したのはこのうちのATPで、その分子認識に関与するBPLのアミノ酸残基に部位特異的変異を導入した。 |
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| ※5 |
部位特異的変異 |
| 遺伝子操作により、目的タンパク質の特定のアミノ酸残基を任意の別の種類のアミノ酸に置換することができる。この技術でタンパク質に導入した突然変異を部位特異的変異という。 |
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| ※6 |
構造ゲノミクス |
| タンパク質の立体構造は、生物を原子レベルで理解するために不可欠な情報である。生物の全遺伝子(ゲノム)を多種類の生物について解読するゲノミクスが実現した後、それらのゲノムがコードするタンパク質の立体構造を網羅的に決定し、立体構造に基づく研究開発の基盤として役立てようとする大規模な研究プログラムが世界的に進められている。この学問分野を構造ゲノミクスという。日本では2007年3月までの5年間「タンパク3000プロジェクト」と呼ばれる国家プロジェクトが実施され、多数の構造決定が行われるとともに、効率的な構造解析のためのインフラが整備された。研究チームでは、このタンパク3000プロジェクトにおいて結晶構造を139種類(PDB登録304件)決定し、これらの立体構造を比較してタンパク質の構造機能の相関関係を体系的に解明する研究を展開した。また同プロジェクトにおいて、タンパク質自動結晶化システムや構造解析支援ソフトウェアなどの効率的な構造解析基盤を確立した。現在、それらの成果をXFELプロジェクトや統合データベースプロジェクトの推進に活用する一方、難解析性タンパク質の構造決定を促進するため、タンパク3000プロジェクトで開発された要素技術を発展させ、変異導入による結晶改善技術やゼオライトによる結晶化制御技術の開発を進めている。 |
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| ※7 |
超分子複合体 |
| 多種類のタンパク質が会合して巨大な複合体をつくることで、初めて機能を発揮するタンパク質複合体のこと。プロトンポンプやリボゾームなどが例として挙げられる。不安定で試料の調製や結晶化が難しく、解析困難なものがほとんどである。 |
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| ※8 |
膜タンパク質 |
| 膜に組み込まれて機能するタンパク質のこと。膜タンパク質は、生体内では脂質でできた細胞膜という2次元の物質中に存在しており、結晶という3次元構造へ変化させるために必要な試料調製や結晶化には、特殊な発現系や界面活性剤処理など、高度な技術が求められる。膜タンパク質は、もっとも重要な創薬ターゲットであるGタンパク質共役型受容体(GPCR)に代表される、シグナル伝達の鍵となる膜受容体など医学的・生物学的に重要なものを多く含むが、解析困難なためほとんど構造が決定されていない。世界で初めて膜部分を含む全体構造が決定されたGPCRであるロドプシンの結晶構造解析は、SPring-8を使った成果である。 |
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| ※9 |
ビオチン標識を利用したタンパク質工学的技術 |
| タンパク質のビオチン修飾は生体内で非常にまれな反応で、また、その検出がアビジンと呼ばれるタンパク質を用いることにより非常に高感度で行えることから、タンパク質の標識によく用いられる。例えば、遺伝子操作により目的タンパク質とBCCPをつないだ人工タンパク質を設計し、それを発現させた細胞を固定した後、BPLでビオチン化し検出することで、目的タンパク質が細胞のどこに局在しているかを詳細に調べることが可能。 |